農ライフはじめましたvol.12(最終回) 春になると待ち遠しいもの

移住して以来、春になるとそわそわしてしまうことがある。
それは、桜の開花の知らせがいつ届くか、ということだ。生まれも育ちも関東の私にとっては、桜の花は3月下旬には咲いているもの。だから北海道の桜が開花する5月頃までの1ヶ月は、まだかまだかと首を長くしてしまう。昨年の春はマックス(vol.11参照)の誕生で桜を楽しむ余裕などなかったのだが、今年は少しだけ余裕が出てきた。

今月で誕生から11ヶ月を迎えるマックスは、この間ハイハイを覚えたかと思えば、つかまり立ちをするようになり、なんと先日からヨチヨチ歩きができるようになった。もはや「赤ちゃん」ではなく、二足歩行の「人間」に堂々の仲間入りを果たしたのである。この1年間で人類の進化を目の当たりにした気分だ。

4月からマックスは保育園に入園し、私と離れる時間ができるようになった。初めての環境に慣れることができるのかと心配していたが、親の気持ちをよそに意外と楽しく過ごしているらしい。

一方で私たちは、この春からついに新規就農者として独立をする。約1.5haの畑を借りて、今年はまず4棟のハウスでメロン栽培に挑戦。徐々にハウスの棟数を増やしていき、最終的には9棟を建設する予定だ。これまで2年間の研修をしてきたが、私が出産などで休みをとっていた関係で、4月からは久々の夫婦2人での農作業である。仕事の復帰と保育園の入園が重なってドタバタな毎日だ。

例えば雪解けが進んだある日。ハウスの中に雪解け水が侵入し、床が水浸しになったことがあった。また、雨が降った翌日に軽トラで畑に入ろうとしたら、ぬかるんだ土にタイヤを取られて抜け出せなくなった。そして別の日はトラクターごと畑に沈んでしまったことも。ここに書くのも恥ずかしい失敗の数々ばかりだ。周囲の農家の先輩方は、そんな私たちを心配しながら、時に颯爽と助けにきてくれるので、本当に頭が上がらない。

こうした失敗を重ねながらも、冬の終わりに種を播いたメロンはすくすく生長中だ。
今育てているメロンは、ちょうど北海道の桜と同じ時期に開花をする。メロンは黄色い小さな花を咲かせるのだが、桜に負けない可愛らしさがある。花が咲いたらミツバチが花粉を運んで、そこからメロンの果実が大きく育ってゆく。メロンと同じように私たちも農家として、親として、これからしっかりと育っていきたい。

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連載はここで一度区切りを迎えます。ぜひ読者のみなさんには、私たちが農家として成長していく姿を遠くから見守っていただけたら嬉しいです。短い間でしたが、連載にお付き合い頂きありがとうございました。

書いた人/小林麻衣子
神奈川県出身、北海道在住。大学卒業後、農業系出版社で編集者として雑誌制作に携わったのち、新規就農を目指して夫婦で北海道安平町に移住。2021年4月からメロン農家見習いとして農業研修に励むかたわら、ライターとしても活動中。

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    • ふみ

    いよいよ夫婦2人のメロン作りが始まるのですね(*´ェ`*)
    連載が終わってしまうのは寂しいですが、また時折、メロン畑やマックスくんのその後を書いて頂けると嬉しいです♥お疲れさまでした🍀

    • ありがとうございます。また時折登場してもらえたらと思っています。

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