味噌作りの体験レポート。手作り味噌で自分の健康を支え、病気にならない体作り

ここ数年、健康や美容にまつわる話題の中で「腸活」「発酵」といったキーワードをよく耳にします。特にコロナ感染が急激に拡大してからは、免疫力アップのため、積極的に発酵食品を取り入れている人が増えたようにも思われます。

そもそも発酵とは、乳酸菌、麹菌、酵母などのはたらきが食物に変化が起こし、人間にとって有益に作用することを指します。発酵は食物をおいしくし、栄養価を高めるだけでなく、腸内環境の改善や抗酸化作用、代謝アップといった健康面での効果ももたらします。逆に、有益に作用せず、有害になってしまうものを腐敗と呼びます。

発酵食品は、この発酵の作用によっておいしさが増し、栄養価が高くなったもの。たとえば、醤油、味噌、酢などの調味料、納豆、ヨーグルト、チーズなどが有名です。ほかにも、ぬか漬け、キムチ、かつお節、塩辛、生ハム、日本酒、ビール、ワインなどなど…。

私たちが日常的に発酵食品を取り入れるなら、まずは味噌汁を毎日飲むことからはじめましょう。でも、ここで注意したいのが、どのような味噌を使うかです。添加物や酒精(アルコール)が含まれていない、麹菌が生きている味噌を選ぶようにしましょう。おすすめは自分で作る手作り味噌。とは言っても、どうやって作るの?という方も多いはず。そこで、味噌作り講座に参加した様子を紹介します。

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シンプルだからこそ、良質な材料を。あとは「おいしくなぁれ」の気持ちが大事

内海寛子さん photo/Teru

今回参加させてもらったのは、「ヒロコの麹」代表・内海寛子さんが講師を務める講座。内海さんが教えてくれるのは、「15割手づくり生味噌」というもの。通常の味噌は大豆1に対して麹1という割合ですが、内海さんが作るのは、大豆1に対して麹1.5という割合なので、15割なのだそう。「麹が多めなので栄養価が高く、風味も豊かで少し甘めに仕上がります」と内海さん。

材料は、大豆、生麹、塩。それから仕込み用の容器(タッパーやふた付きの漬物容器など)や大きなボウルなどをセッティングしておきます。

仕込みをはじめる前に、大豆の準備です。大豆は洗って、6時間以上水に浸し、灰汁を取りながら3時間ほど煮ます。指で大豆が潰せるくらいが目安だそう。実は講座では、ここまで内海さんが下準備してくださっていたので、参加者は次の工程である大豆をつぶすところからスタート。大豆を潰すのにぴったりなミンサーなどを用いて潰していきます。

ゆでた大豆をミンサーへ
つぶした大豆

潰し終わったら、次に米麹と塩をボウルの中で混ぜ合わせます。この工程を塩きりと呼びます。味噌づくりに用いる米麹と塩ですが、何でもいいのかと言うとそういうわけではなく、よりおいしいものを作りたいのであれば、米麹と塩の選び方も大切。内海さんが用いている米麹は、600年以上続く種麹屋さんの生麹。種麹とは、麹を作るもととなる種菌のことを指し、日本でも種麹屋は数軒しかないそう。そして、スーパーなどでよく見かけるのは水分を飛ばして長期保存できるようになっている乾燥の米麹ですが、内海さんが使うのは乾燥させていない生麹。生でも乾燥でも栄養価の差はないようですが、発酵の力が大きく異なります。「一般的に販売されているものの中には、潰れたお米を使った麹も多数。やはりどのようなお米から作っているかで麹の品質が異なり、味噌の質も変わります」と内海さん。塩も使うものによって味噌の味が変わるそうで、内海さんがいろいろ試して選んだのが「心と体にしみる塩」という塩。良質なミネラルがたっぷりで、舐めてみるとまろやかさがあります。

塩きり
大豆と塩きりした麹を合わせます

塩きりが終わったら、これらを潰した大豆と混ぜ合わせていきます。「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」と言葉の魔法をかけながら、耳たぶくらいの柔らかさになるまでしっかり混ぜます。この際、大豆のゆで汁を加えて硬さを調整。ちょうどいい硬さになったら、野球ボールくらいの大きさに丸め、アルコール消毒をした容器に空気を抜くために叩き入れていきます。

しっかり混ぜ合わせます

ぎゅぎゅっと押しながら表面を平らにととのえ、アルコールを湿らせたキッチンペーパーで容器の内側のふちを拭いて消毒します。平らにした表面にぴったりラップを敷き、上に練りわさびを丸めたものを置いて、密閉して保管します。夏場なら4カ月、冬場は5カ月ほど寝かせれば完成。今からどんな味の味噌ができるか楽しみです。

ラップの上にわさび玉をのせます

「自分で仕込んだ味噌は本当においしくて、一度経験すると自分で作ったものがいいとリピートする方が大半です。昔は味噌を自分で作る人が多く、作った味噌を互いに自慢し合ったとも言われています。自分で自分のことを褒める『手前味噌』という言葉の語源はここからきています。そして、不思議なことに同じ材料を用いてもそれぞれ味が違うのもおもしろいところ」と内海さん。これは、それぞれ仕込む人の手にある常在菌が違うからとも言われています。子どもの手にある常在菌がいいという説もあるので、お子さんがいる方は一緒に味噌づくりに挑戦してみるのもいいかもしれません。

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麹や手作り味噌に出合い、病を克服。発酵食品でできる病気予防を伝えていきたい

「私は麹に出合って人生が変わりました」と話す内海さんに、講座終了後、手作り味噌の講座や麹商品の製造を始めたきっかけなどについて少し話を伺いました。

とっても素敵な内海さん
 photo/ Teru

内海さんは14年前に乳がんを発症。3人の小さなお子さんたちを抱えながらの闘病生活が始まりました。食事を変えるといいと聞き、治療の傍ら玄米菜食やゲルソン療法など自分に合うものを探します。免疫力を上げたいと考えていた内海さんが手作り味噌と出合うきっかけは、実母だったそう。「父がスキルス性胃がんで亡くなったことをきっかけに、母は日常的に食に対してとても気を使っていて、一緒に味噌を作ってみないかと声をかけてくれたんです。手作りの味噌はすごくおいしいし、体が元気になっていく感じがありました」と内海さん。手作り味噌を使うようになってから、自身はもちろん、家族も健康になっていく様子を見て、「手作り味噌や麹の力を実感しました」と振り返ります。

がんから回復し、子育てもひと段落したとき、自身の経験を少しでも多くの人に伝えられたらと、発酵食品ソムリエの勉強をはじめます。「がんを経験して、病気になると経済的にも負担がかかると実感。若い世代にも日々の食生活で病気を予防できると伝えたいと考えています。麹や手作り味噌はとてもおいしいものだし、おいしく食べて健康でいられるのが一番」と内海さん。これまで友人たちにプレゼントしていた万能麹や塩麹が評判で、売って欲しいと言う声が多く、昨年から販売することにしたそう。「麹は生きているものだから、それを口にする私たちの心と体にも作用します。麹商品を仕込むときも一粒万倍日を選ぶなど、これを口にした方が心も体も健やかでありますようにと願いながら仕込んでいます」と最後に話してくれました。

「ヒロコの麹」の塩麹や万能麹は、料理の下味や隠し味に便利ととても評判。万能麹はご飯や冷ややっこにもよく合います。塩麹も肉や魚に用いると柔らかくなり、旨みを引き出します。いろいろな塩麹が販売されていますが、内海さんの塩麹はほんの少量で十分食材がおいしくなります。内海さんの温かな想いが込められている、まさに魔法の麹です。

<内海さん(ヒロコの麹)のインスタはこちら>



取材・文/中村昭子(徳積ナマコ文章作成室)https://tokutsumi.com/

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