オーガニック給食を実現させたフランスを手本に。持続可能な給食作りを目指すCPPオーガニック給食協議会

この春、日本でCPPオーガニック給食協議会(CCPジャパン)という団体が発足します。その背景や目指すところ、今後の活動内容などについて、代表の本田恵久さんに話を聞きました。

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 グローバリゼーションによる食のスタンダード化や工業化に対して危機感を持った学校給食の調理員や栄養士が有志で集まり、2008年に発足した「CPPフランス」。彼らは、地域で健康と栄養と環境に配慮した持続可能な給食を作るお手伝いをしています。「当時、給食の食材をオーガニックや地元素材でという考えはなかなか受け入れてもらえず、設立時は無理なことをやろうとしていると言われていました」と話すのは、CPPフランスに関わり、今回CPPオーガニック給食協議会(CCPジャパン)を立ち上げた本田恵久さんです。

CPPフランスのメンバーと。右端が本田さん

もともと農業国であるフランス。農家や生産者が得るべき適正な報酬、欧州各国の農作物の輸出入の問題や関係性、環境問題、食文化の継承、健康維持といった視点から、食品三部会法(エガリム法)という法律ができました。その中に、公共的な給食(学校給食、病院など)に、持続可能な認証を持つ農作物、食品を金額ベースで50%を使用すること、そのうち20%は有機認証のあるものという決まりが設けられ、 2018年に施行、猶予期間を経て2022年1月1日から実行することになっています。「法律が整っても、これらを実現するには知識やノウハウ、現場の努力が必要です。CCPフランスの調理員メンバーは15年かけて自治体と協力し、100%オーガニックの給食センターを作りました。そうした経験を生かし、ほかの地域ではオーガニック給食導入のためのコンサルタントとして活躍しています」。

フランスの学校給食のスタイル
学校給食で出されているサラダ。オーガニックを表す「Bio」と表記されています

本田さんはもともと日本でパティシエとして仕事をしていましたが、本場のフランス菓子やフランスの歴史に触れたいと渡仏。フランスのオーガニック農家レストランで働いていたときに、CPPの前身である集まりに参加します。「日本にいたときも身土不二や地産地消にこだわった店で働いていたので、オーガニックなどに関心はありました。フランスのオーガニックレストランで働くうちに、栄養を考えた健康的な食事はもちろんのこと、環境にも配慮した食材こそが本当の意味で健康的なのではないかと考えるようになりました」。本田さんがフランスで感じたことが、まさに今の日本における課題でもあります。「和食は体にいいと言われ、栄養バランスも素晴らしいとされています。一見、健康的ですが、実際のところ、添加物や農薬の影響も気になります。持続可能であること、環境に配慮していることなどを含め、素晴らしい和食の伝統、大切な日本の食文化を子どもたちにきちんと残したいと感じました」。

CPPフランスは調理員、栄養⼠ら6000人近くに講習会を行ってきました

CPPフランスでの経験を生かし、日本でもCPPオーガニック給食協議会(CPPジャパン)を発足することに。この春には、NPO法人として活動を本格スタートさせます。「メンバーは、⼦どもたちの給⾷を⽀えている調理員、栄養⼠、技術者、研究者、農家など。子どもたちが口にするものは、工業製品化された食材ではなく、手作りのものであることが大切だと考え、講習会などを通して、健康で持続可能な給⾷を協議会として構築していきます。食からの環境アプローチが当たり前になりつつある昨今、給食から環境を守ることも視野に入れています」。

技術指導やレシピ作成のアドバイスなども行います

オーガニック給食をすすめるコミュニティも立ち上げ、給食関係者だけでなく、興味があれば、年齢も職業も関係なく参加できるようにしています。「オーガニック給食を実現させるためには、たくさんの方の協力が必要です。〝給食応援団〟として、皆で手を取り合ってやっていけたらと考えています」。勉強会や講習などを行うほか、ワークショップなども行っていく予定です。3月4日にはフランスのリアルなリポートを紹介するオンラインプログラムを開催します。

給食をオーガニックに。その想いを持っている人たちは日本にもたくさんいますし、それぞれの地域で活動している人もいます。団体は違っても目的は同じです。本田さんは「すでに実践している地域もあります。それぞれの団体と横の繋がりを作り、〝給食応援団〟としてみんなで大きなうねりを作っていけたらと思います」と話してくれました。

CPPオーガニック給食協議会のサイトhttps://organickyushoku.com/
給食応援団サイト(一般参加者の入口応援。オーガニック給食をすすめるコミュニティ)https://community.camp-fire.jp/projects/view/550611



取材・文/徳積ナマコ
生活情報紙の編集、広告制作の会社勤めを経て、フリーランスに。ライフスタイル、クラフト、食、アート、映画、ドラマ、アウトドア、農業、健康、スピ…と、興味があるとなんでも首を突っ込む。人の人生ややりたいことの話を聞き、まとめるのも好物で、最近はプロフィールライターとしても活動。https://tokutsumi.com/

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    • 北川昌昭

    今私はCPPの本田さんと遠藤さんにお手伝いいただいて、有機食材の学校給食への導入を目指した「田植え祭り」の開催の資金調達と趣旨説明のために、クラウドファンディングを立ち上げようとしています。私は、CPPさんの化学農薬や化学肥料を使ってる農家さんやそれらの仕事に従事されているみなさんの非難につながる様な話ではなく、自然環境や農家の収益性を改善できる様な訴え方に非常に共感を覚えます。

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