ブロックチェーンを使った未来のカタチVol.2~アナログ人間にも分かるように教えてもらいました  

ブロックチェーン

前回は、 川本栄介さん(ブロックチェーンのテックカンパニー「アトノイ」代表)に ブロックチェーンというツールを用いることで、1人ひとりの活動履歴が正しく記録され、より円滑で健全なコミュニティーが生まれるということを教えてもらいました。今回は、川本さんが考えるブロックチェーンの技術を使ったトークンエコノミー、その仕組みが作れるブロックチェーンの特性について話を聞きました。

編集部 / ブロックチェーンというツールを用いることで、1人ひとりが楽しく暮らせそうな社会が実現できるかもという輪郭は見えてきました。好きなことだけで食べていけるっていいですよね。経済も変えていけるという話をされていましたが、ブロックチェーンの技術でどんなことができるのでしょうか。

川本 / 僕がブロックチェーンの可能性を感じたときに考えたのが、トークンエコノミーです。トークン(仮想通貨)でできる経済の仕組み、経済の循環を考えました。ブロックチェーンの技術だからできる仕組みのポイントは5つ。①マイクロペイメント ②即自的な支払い ③耐改ざん性の高い極めて強固なセキュリティー ④取引の見える化 ⑤スマートコントラクト(自動化)です。

編集部 / その5つのポイントについて、それぞれもう少し詳しく教えてもらってもいいですか? 

川本 / はい、ではまず①マイクロペイメントと②の即時的な支払いについて。マイクロペイメントとは、少額決済という意味です。

編集部 / 少額決済?

川本 / 今の日本の銀行の送金手数料は100円以上が当たり前。だから10円とか100円をわざわざ送金することはないですよね。たとえ10円だったとしても、1万円だったとしても送金する処理能力は変わりませんが、手数料だけは金額が増えると上がりますよね。アフィリエイトのサービスなどでも、手数料の関係で3000円とか1万円以上貯まらないと使用できないものが多数です。でも、モチベーション的には何かアクションを起こしたことに対しての報酬は、少額であっても今すぐ欲しいというのが人間の性じゃないですか。

編集部 / 確かに。

川本 / ブロックチェーンの技術を使っている仮想通貨は、0.1円でも0.001円でも送金ができます。それが少額決済ですね。中には、高い手数料を取ったり、制限があるところもたまにありますけど…。

そして、仮想通貨は圧倒的なスピードで取引が可能です。今の日本円だと、銀行に夕方振り込んだら、翌朝の確認になるし、海外送金ならもっと時間がかかりますよね。でも、仮想通貨の取引は数秒、長くても数分で取引が成立します。これが即時的な支払いです。ブロックチェーンにすぐに書き込み、記録ができるので取引が早いのです。こうなると、締め日がどうとか関係なく、売り上げは即時的に入金されるし、小さい組織や個人の店でも資金繰りが変わると思います。

編集部 なるほど。確かに受託仕事の場合、間に1社、2社入ってしまうと支払いが2カ月後、3か月後は当たり前ですけど、仮想通貨での支払いになったら、もっと早くに入金されるかもしれないのか…。いいな(笑)。

川本 / 3年前に僕がブロックチェーンの可能性について考えていたとき、5つのポイントのうち、①マイクロペイメント、②即時的な支払い と位置付けていたのですが、最近ちょっと言い方を変えようかなと思っています。この3年間、ブロックチェーンを使ったトークンエコノミーの可能性を深掘りしながら、いろいろなところで話をさせてもらっているうちに、最近は①マイクロレコード、②即時的な記録 という言い方のほうがしっくりくるかなと。

編集部 / どんな小さなことも記録できて、しかもすぐに記録できるということですか?

川本 / そういうことですね。記録自体も、通貨としての記録以外もできるようになってきているので。

編集部 / 通帳みたいに、どこにいくら払ったとか、どこから入金があったという数字の取引履歴以外も記録できるということですか?

川本 / ブロックの中に何を書き込むかを設定することができ、個人の汗と涙の結晶も書き込むことが可能なのです。数字だけではなく、どうやってそれを手に入れたかとか、何をやったからそれを手に入れることができたとかね。

ブロックチェーン業界は、どんどん技術が進歩していて、面白いものがいっぱい出てきているんですよ。毎週のように新しい技術が生まれて、ちょっとしたカオス状態ですね。その中で、どのブロックチェーンを使うか、いかに最適なものを選ぶかがポイントになります。そのあたりはコンセプトが大事になってくるのですが、それはまたそのうち説明しましょうね。

編集部 / では、③耐改ざん性の高い極めて強固なセキュリティーについてお願いします。

川本 / 前回、ブロックチェーンはデータの書き換えがしにくい、修正している時間が割に合わないと言いましたよね。よく、データベースで簡単に書き換えられるでしょ?とおっしゃる方がいるのですが、ブロックチェーンの仕組み上、それはかなり難しいのです。

ブロックチェーンのブロックの中にはデータが決まった数だけ入っています。データがいっぱいになったらそれがハッシュ化され、また次のブロックへと新しいデータが書き込まれ、ハッシュ化されます。そのハッシュ化したブロックが連鎖しているからブロックチェーンといいます。

編集部 / そのハッシュ化とは?

川本 / ハッシュというのは、暗号化技術のこと。ハッシュ関数と呼ばれる計算式にデータを通すと、固定の長さのランダムな値が付けられます。これをハッシュ化すると言います。例えば、あるブロックは100行のデータが書き込めるとします。100行になったらそのブロックはハッシュ化されます。すると、A12BC56EF……みたいな固定の長さの値が付けられます。このハッシュ値は次のブロックの1行目に書き込まれ、また新たなデータが100行書き込まれていきます。つまり、前のブロックのハッシュ値が新しいブロックを繋いでいることになります。

編集部 それでブロックチェーンなのですね。

川本 / はい、そうです。ハッシュ値はデータを特定する識別番号やIDとして機能し、不可逆なので、データの改ざんをしようとすると、すぐにエラーがでます。もし何かデータを書き換えようとするなら、これまでのブロックも全部書き換えなければならないということです。

編集部 / 面倒だっていう話ですよね。

川本 / そういうことです。そして、④取引の見える化 にもつながるのですが、前回分散台帳の話も触れましたよね? Pear to Pear(P2P)という分散型データ管理の仕組みがベースだと。

編集部 / 一か所のサーバーでデータ管理をしていないから、特定の管理者がいなくて、みんなが閲覧できるというやつですよね。あのあと、ちょっと調べてみたのですが、Pear(ピア)は、「同等の人」とか「友だち」という意味で、同等の役割を持つPearが網目状に接続して、互いに通信や処理を行うんですよね?

川本 / そうです。例えば、100のPear(ノード)があったとしたら、それはすべて完全にコピーされていて、同期している状態にあります。だから、どこかのPearが何か1つデータを書き換えようとすると、99のPearから「おかしいよ」と指摘が入るというわけです。不正なノードは参加させないというわけですね。それぞれがそれぞれを監視しているようなものです。

編集部 / つまり、改ざんもできない。

川本 / そうですね。そして、ブロックチェーンはノード同士だけでなく、一般のステークホルダーの人たちも取引記録を見ることができます。改ざんされないデータを見ることができるので、そこには大きな信用が生まれます。

これまでは、データの保証を第三者機関がチェックすることで、信頼や信用の証とされてきました。でも、その第三者機関自体に不正があれば、そのデータが信用できるかどうかは分かりませんよね。ブロックチェーンに記録されたデータは、改ざんができない上に(③)、「見える化」されているので(④)、そこにデータの信ぴょう性が生まれるというわけです。

そして、⑤スマートコントラクトにつながるのですが、スマートコントラクトは分かりますか?

編集部 / 分かりません!(笑)。

川本 / 「契約の自動化」といわれる概念で、直訳すると「賢い契約」です。自動販売機が例えとしてよく使われるのですが、ジュースを欲しい人が、お金を自動販売機に入れ、ボタンを押し、ジュースが出てくる。お金を入れるときが「決済」、ボタンを押すことが「契約」、ジュースが出て「履行」というわけです。契約、履行、決済の一連の流れが自動的に行われるプログラミングですね。

ブロックチェーン上にこのスマートコントラクトが実装されると、決められた内容に従って契約が行われ、その契約内容はブロックに書き込まれ、誰に対してもフェアに契約が履行されるというわけです。③と④があるから、中間管理者不在の状態でもブロックチェーン上でスマートコントラクトが可能なのです。

さらに、このスマートコントラクトで恩恵も受けられるのですが、この辺りはまた次回お話しましょうか。

つづく


◆川本さんが代表を務める株式会社アトノイ https://atonoy.co


編集・テキスト/徳積ナマコ
生活情報紙の編集、広告制作の会社勤めを経て、フリーランスに。ライフスタイル、クラフト、食、アート、映画、ドラマ、アウトドア、農業、健康、スピ…と、興味があるとなんでも首を突っ込む。人の人生ややりたいことの話を聞き、まとめるのも好物で、最近はプロフィールライターとしても活動。

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