サステナブルな生き方や暮らしを実践している人、本気で世の中のこと、地球のことを考えている人など…、WEBマガジンLINK!のコンセプトに共感する方たちが自分の想いを好きに綴るとことん自由なリレーエッセイです。6回目は、北海道・苫小牧市で子どもたちの居場所作りを行っている畠山俊彦さんです。
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22歳で社会に出てから42歳になるまでサラリーマンとして働いてきた。そう5年前のあの日まで。当時勤めていた会社で人間関係でストレスに潰され人生に幕を閉じようと決意した。
『終わりの場所』を探し求めて森を彷徨い、たどり着いた沼のほとりで腰を下ろし空を見上げ、木々の隙間から見える雲の行方を追いながら自分の過去を遡る。
「俺の人生って…」
命を終わらせようとしている人間が、人生とは…、命とは…などと、答えを見つけるには途方もない時間のかかる問いに挑もうとしている。
結局自分は、生きたいのか?生きたくないのか?いや、生きなくてもいい。。。自分なんて。
とその時、遡っていた過去の映像に1つの共通点を見つけてしまった。今度は5倍速で過去の映像を再生する。やはりそうか…。気づいてしまったことに後悔をした。
過去の映像に流れてくるのはどれも誰かを助けようとしている様子ばかり。親と行った旅行でもなく、海水浴でもなく、動物園でもない。見知らぬ誰かを助けようとしている映像しか流れてこない。
「俺が生きてる理由がこれなのか?」
確かに体は考えるより先に動いていたし、心はどんな時よりも躍っていた。
「人の喜びが自分の喜び?なのか…?」
そんなことを考えているうちに、また一つ思いが湧いてきた。
そういえば、自分の夢は子どもたちのための居場所を作ることだったな。絵に描いていつかは…なんて漠然と考えていた。叶うはずはないとさえ思っていた。
どうせ今日今ここで自分は終わる。
死ぬ気なってやれば出来る!とはよく言ったものだ。
今までの自分を終わらせて、新たな自分を生きていこう!子どもたちのために。
身体中に血の気が戻るのがわかるくらい興奮していたのだろう。そのあとどうやって森を抜けたか思い出せないが、気がついたら会社に戻って辞表を出していた。
それからと言うもの、市内の子どもたちに関するあらゆる資料を調べまくった。なんせ暇な時間が山ほど手に入ったから。
思っていた以上に不登校の児童生徒が多い。この子たちは普段家で過ごしているのだろうか? 他の場所で何かをして過ごしているのだろうか?
子どもたちのことについてどんどん興味が出てくる。そして1ヶ月後、任意団体として子ども総合支援ネットワークを立ち上げ本格的に活動していくことを決意する。
そして今、NPO法人として活動を続け、不登校の児童生徒のみならず、学校へ通っていてもいじめや虐待などで苦しむ子どもたち、高校に進学したものの行けなくなってしまった若者たち、当たり前を当たり前に過ごすことのできない子どもたちや若者たちが当たり前の生活を手にすることができるように、その下支えとなるべく居場所作りを行なっている。
拠点としての居場所で迎え入れたり、アウトリーチで子どもたちの元へ出向いていったり、オンラインの活用も行い、ありとあらゆるアプローチで関わりを作り、決して一人にさせないための活動を行っている。
今の子どもたちを健全に育てることが、7代先の子どもたちへつながる。
ひたすらそう信じて全身全霊でこれからも活動していく。
書いた人/畠山俊彦
北海道苫小牧市で、NPO法人子ども総合支援ネットワーク代表理事として、自給自足型こども農園「こども村」、Smail Wagon:移動型フリースクール×こども食堂「カレーなる食堂」、青色防犯パトロール「ひまわりパトロール」、若者ピアサポートサークルを運営。子どもたちの学びの機会の確保のため塾としての教室「みんなの教室ココスタ・ラボ」の代表、ごみ拾いを通じて人と人とをつなぐコミュニティ「C.O.P.~Clean Ocean Project」の代表も務める。カウンセラーとしても活躍。
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