安平町にコミュニティスペースがオープン!「ABIRA DE LIGHT」で女性が集える場づくりを

木村由佳さん

4月初旬、安平町早来(あびらちょうはやきた)地区で新たなコミュニティスペース「ABIRA DE LIGHT(アビラ デ ライト)」がオープンしました。同スペースは、町内で起業を目指す人を支援する「安平町チャレンジショップ」事業を利用したもの。開業に至った背景や今後の事業内容について話を聞きました。

女性たちが気軽に集い、心のよりどころになる場所

オープン初日と2日目は、講師を招いた特別イベントを多数開催。多くの親子連れなどで賑わいました

新千歳空港から車で約20分、北海道の南西部、胆振地方に位置する安平町は人口約7000人の小さな町です。農業や製造業などが盛んで、ゆるやかな丘陵地帯に牧場や田畑など、のどかな風景が広がります。

町の中心部に位置する早来地区。商店街の一角に、真新しいトレーラーハウスが並ぶ場所があります。その一つを訪れると、中はたくさんの親子連れで賑わっていました。

ここは、4月9日に新たにオープンした「ABIRA DE LIGHT(アビラ デ ライト)」。町内や近隣の地域に住む子育て世代の女性を対象とした、コミュニティスペースです。同スペースの名前は、喜びを意味する英語の「delight」から、「安平で暮らす人に光が当たる」「安平の明るい場所」を意味します。

代表を務める木村由佳(きむら・ゆか)さんは、室蘭市出身。パラレルワーカーとして講師業や女性の企業支援など複数の事業を運営しています。安平町には3年ほど前に移住してきました。

「安平町に住んでみて、仕事のお客様とやりとりすることはあっても、町内の人とのつながりはなかなか持てませんでした。せっかく安平町に住むなら地域の人とつながる場所がほしいと考えるようになったのです」

コミュニティスペース作りをしようと考えた木村さんは、まず町内の既存の施設や隣町の厚真町のコミュニティスペースを訪問。ヒアリングを重ねるなかで課題となったのが資金面でした。

そんなとき、町役場の担当者から「安平町チャレンジショップ」の存在を教えてもらったと言います。

木村さんがセレクトした地元作家のアクセサリーやハンドメイド作品などの物販も実施

被災した商店街に活気を取り戻す創業支援事業

安平町チャレンジショップは、町内で起業や創業を志す人が、最大2年間試験的に事業を営むことができるスペースです。関係人口や交流人口の拡大を図るのが目的で、審査に合格すれば、約40㎡のトレーラーハウスを比較的安価な賃料で借りることができます。

2018年の北海道胆振東部地震で震度6強を観測した安平町は、住宅や小学校が倒壊するなど、大きな被害を受けました。そこで地震で空洞化した商店街を活性化しようと、2019年からこのチャレンジショップの構想がスタート。2021年9月末にはトレーラーハウスが完成し、同年11月から事業者の募集を開始しました。

「この場所も、地震でもともとあった建物が崩れてしまったところ。商店街の賑わいを取り戻そうと、この事業が始まりました」

そう話すのは、安平町役場でチャレンジショップを担当する商工観光課 商工観光労働グループの主幹・横谷健(よこや・けん)さんです。

安平町役場の横谷さん(左)と代表の木村さん

複数の応募があり、審査の結果「ABIRA DE LIGHT」とカフェ事業の2件が、2022年4月に開業することになりました。

目指すのは商店街に足が向かなくなった人たちに来てもらうこと。早来地区では震災でカフェがなくなってしまったことで、市民が集まれる場所がないのが課題でした。また、安平町は日本ユニセフ協会「日本型子供にやさしいまちモデル」実践自治体として、子どもにやさしいまちづくりを推進しています。子育て世代が集まれる場として、上記の2つの事業が採択されました。

「ABIRA DE LIGHT」は、代表の木村さん、共同で施設管理を行う鍼灸師の茂地龍哉(もぢ・たつや)さん、サポートスタッフの2人で運営しています。施設内の一角にある鍼灸院では整体の施術を受けられるほか、地元ハンドメイド作家のアクセサリーやポストカード、小物などの物販コーナーを常設。フリースペースやワークスペースとして個人利用も可能です。利用の際には、相談次第で子どもを預けることもできます。

「安平町は子どもに優しい町です。ぜひお母さんたちの憩いの場にしてほしいですね」

と、横谷さんは期待を込めて話します。

「今後は、米粉クッキーレッスンなど、食に関するワークショップやイベントの開催も予定しています。コミュニティスペースって、どんなふうに利用したらいいかわからない方も多いと思います。まずはふらっと気軽に立ち寄ってもらって、思っていることをお話ししてもらいたいです。何か始めたいことがある人や、変化がほしいと考えている人に来てもらいたいですね。町民に限らず、いろんな方にアイデアを出してもらって、みんなで作り上げていくスペースにしたいです」

と、木村さん。4月15日には、隣接するチャレンジショップで「あびら カフェ」もオープン予定。安平町の新スポットとして、ぜひ立ち寄ってみてください。

「ABIRA DE LIGHT」ついて
所在地:北海道勇払郡安平町早来大町68
営業時間:ABIRA DE LIGHT 月〜金曜日9:00-16:00(日により変動あり)
さっくる鍼灸整体院(ABIRA DE LIGHT内) 日・火・木曜日 9:00-20:00
定休日:不定休
ウェブサイト:https://abiradelight.hp.peraichi.com/ ※問合せはウェブサイトから。

書いた人/小林麻衣子
神奈川県出身、北海道在住。大学卒業後、農業系出版社で編集者として雑誌制作に携わったのち、新規就農を目指して夫婦で北海道安平町に移住。2021年4月からメロン農家見習いとして農業研修に励むかたわら、ライターとしても活動中。

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