リレーエッセイ「into one」vol.5 大石真司さん(株式会社高南メディカル食育・地産地消アドバイザー)

サステナブルな生き方や暮らしを実践している人、

本気で世の中のこと、地球のことを考えている人など…、

WEBマガジンLINK!のコンセプトに共感する方たちが

自分の想いを好きに綴る

とことん自由なリレーエッセイです。

5回目は、高知県で子どもたちの給食をオーガニックにしようと活動されている

大石真司さんです。

「絶対大丈夫」

私は、スポーツの中で何が一番好きかと聞かれたら迷わず「野球」と答えます。父が社会人の時に野球をしていて野球が好きだった影響も受け、小学校、中学校、大学、社会人とソフトボールや軟式野球に没頭しました。平成17年7月に脳出血で左半身が麻痺にならなければ、今でも続けていると思います。

私はヤクルトスワローズの大ファンです。スワローズファンになった理由は、私の父がアンチ巨人だったこと、中学時代の野球のライバル校にいた杉村繁選手が選抜高校野球で優勝し、スワローズにドラフト1位で入団したことでした。そして、妻も古田敦也さんのファンだったので、結婚してから一緒に応援するようになって30年以上になります。

プロ野球シーズンになると、夫婦で神宮球場や松山の坊ちゃんスタジアムへ応援に行くのが楽しみです。たまに、広島球場や甲子園にも行きますが、スワローズファンが少なく、アウェイ感が半端でなかったため、最近は行っていません。最近はネット中継の環境が整ってきましたので、ほぼ全試合を自宅で観戦しており、野球解説者ができるほどのめり込んでいます。ちなみに作家の村上春樹氏、歌手のさだまさし氏、タレントの出川哲朗氏はスワローズファンで有名です。

スワローズは1990年に野村克也監督が就任し、古田敦也捕手や現監督の高津臣吾投手が入団。92年には14年ぶりのリーグ優勝を果たすなど、10年間でリーグ優勝4回、日本一を3回達成しました。このころから、監督の選手の育成や采配にも興味を持ち始め、セ・リーグの他球団とは少し違った雰囲気を持つチームだと思うようになりました。

そのスワローズは昨年、一昨年は最下位というどん底を味わいましたが、2年目の高津監督が20年ぶりの日本一にチームを導いてくれました。オリックスとの日本シリーズでは野球ファンならずとも感動された方も多いと思います。私も日本シリーズの優勝の瞬間は感無量で涙があふれました。

今年の日本一の要因は、なんといっても高津監督の采配だと思います。ペナントレースの終盤に「絶対大丈夫」という言葉がベンチに貼られており、ファンも球場で「絶対大丈夫」とプリントされたタオルを広げていました。高津監督が、選手たちに「絶対大丈夫」を浸透させたことがペナントレース終盤の快進撃になったと思います。

この「絶対大丈夫」は、野村監督の名言「命令するからには、全責任は監督にある。つまり、クビになるのはおまえでなくワシや。だから、失敗してもいっこうにかまわない。おまえの失敗はおまえを使ったオレが悪いのだから、全てを出しきり、結果は神にゆだねろ」が、ベースになっていると思います。

実際、高津監督はミーティングで「絶対大丈夫、このチームが一枚岩となって戦えば絶対に崩れない」「絶対大丈夫、何かあったら俺が出るから」と「絶対大丈夫」を連呼されたそうです。このように、精神的な支えでもあり、木を見て、森を見て、枝葉まで見ているような高津監督が、優勝の最も大きな原因だと思います。

野球のチームづくりも企業経営と同じで、人材育成が最も大切です。高津監督は現役時代に野村監督の下で野球の基礎を学び、その学びに加えてアメリカメジャーリーグ、韓国リーグ、台湾リーグ、新潟の独立リーグでさまざまな経験をされました。その経験がチームづくりの土台となっているのではないでしょうか。個々の選手の適材適所での個性を生かした采配が随所に見られ、山田哲人や村上宗隆などの主力選手の活躍ももちろんですが、今年のペナントレースはみんながヒーローになって勝ち抜いてきました。

ぜひ、一万人の船も乗組員は「何があっても絶対大丈夫」と励まし合い、みんながヒーローになって船出をしようではありませんか。

妻と8人の孫たちに囲まれて

書いた人/大石真司
1957年5月20日生まれの64歳。妻と4人の子ども、8人の孫のおじいちゃんで、高知県高知市在住。地元の私立高校を卒業後、神戸の甲南大学経営学部を卒業、住宅メーカー、飲食業、ケータリング会社起業、会館支配人、衆議院議員秘書、高知市議会議員、学校法人の事務局長、常務理事を経て、現在は株式会社高南メディカル食育・地産地消アドバイザーとして、県内の保育園、こども園、幼稚園、小中学校の給食をオーガニックにするために活動している。

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